山の上の家

2024年07月14日

2009年、88歳で亡くなった作家の庄野潤三の展覧会が、横浜の県立神奈川近代文学館で開催中という日経新聞・文化欄を読んでトークイベントと併せて行ってきました。

前日の雨のおかげで気温が下がり元町・中華街駅から足どり軽くルンルン。港のみえる丘公園はアガバンサス、エキナセア、向日葵が青い空に向かって咲いていました。

1961年川崎・生田で何もさえぎるものがない丘の上の新しい家「山の上の家」。作家一家の日々の暮らしを描いた小説「夕べの雲」(講談社刊)は日常のいとおしさが伝わる私の愛読書です。

展覧会では「山の上の家」の模型、「夕べの雲」に登場する庄野潤三の書斎が再現され、同じく小説に登場する師・井伏鱒二の仲介で購入した古備前の大甕(かめ)が置かれていました。

ははーん、これが庭に置いてあったとき突風で倒れてころがり大浦があわてて部屋から裸足で飛び出しタックルして止め、その後からは室内に置くようになったという小説のエピソードの甕!バカでかい実物を見て、微笑ましく納得したのでした。

昭和の雰囲気がいっぱい懐かしさと温かさが伝わる展示展開です。

作家夫婦が子どもたちに、うれしいことがあったらその日のうちに、つまり、よろこびが減らぬうちにお礼の手紙を書きなさい。と教えたそうです。作家の妻の千寿子さんもまたうれしいいことがあったら、その日のうちに娘に向けて書いた842通、長女の夏子さんに送られた大量のはがき・手紙の束が並んでいました。これらの記録・保存にもびっくりしました。

ゆっくり展示を見て、長女の夏子さんのトークも拝聴できました。

展覧会の帰り道、あー今日は忘れかけていた大切ものを 教えていただいた。よろこびが減らぬうちに書こう。

夏のおおきな雲に向かって庄野潤三先生ありがとー